生産性運動再起動~次世代がいきる日本のために

日本生産性本部は1955年3月の設立以来、経済界・労働界・学識者の三者が参画する生産性運動の中核組織として、戦後の日本経済の復興とその後の高度経済成長に大きな役割を果たしてきました。
しかしグローバル化の進展や急速なデジタル技術の発展、人口減少にともなう労働力不足など国内外の環境が劇的に変化するなか、あらためて「生産性改革」が喫緊の課題となっています。
日本生産性本部は、設立当時に匹敵する決意のもと、2018年度を『生産性改革元年』と位置づけ、2020年度までの3年間を集中期間として、『人口減少下の新たな生産性運動の基盤整備』にむけた5つの目標と15のアクションを定め、活動しています。

1. 生産性のハブ・プラットフォームとしての組織体制の構築
~「生産性」概念の研究・提言・実践に向けて~

今、AIやIoTなどの技術革新、シェアリングエコノミーの広がりなどを踏まえた生産性の測定方法や新たな概念が求められています。経済界・労働界・学識者が一堂に会し、生産性をめぐるさまざまな課題を研究するため、2018年9月4日、生産性常任委員会(委員長:福川伸次 評議員/地球産業文化研究所 顧問)を立ち上げました。2020年(生産性運動65周年)に「生産性白書」を刊行する予定です。
また、業種・業態ごとに知恵や情報、経験を共有する生産性プラットフォーム(世話人:有富慶二 副会長/ヤマトホールディングス 元代表取締役社長)を設置し、マクロ/ミクロの両軸で生産性改革を推進します。

2. 社会経済システム改革に向けた合意形成活動の展開
~持続可能な社会・経済のために~

持続可能な社会を、経済を、次世代につなげるため、2018年11月2日、社会ビジョン委員会(委員長:増田寛也 副会長/東京大学大学院 客員教授)を立ち上げました。人材・雇用・地域・社会保障システムなどの一体的改革にむけた労使の合意形成の基盤をつくることに取り組みます。
また、多様な人材が活躍できる社会をめざし、ダイバーシティや働き方改革を推進します。

3. 日本の人材戦略の再構築と中核人材の育成
~人材・次世代リーダーを育てる~

日本の将来は人材にかかっています。破壊的なイノベーションを実現する人材を発掘・育成するとともに、イノベーション促進のための環境整備に取り組む、イノベーション会議(座長:大田弘子 副会長/政策研究大学院大学 特別教授)を2019年9月4日に立ち上げました。また、経営革新を実践するリーダーや中核人材、グローバル人材の育成を支援します。さらに、日本アカデメイアの活動を通じ、政・官・産・労・学など各界の次世代リーダーの育成やネットワーク強化をはかります。

4. 付加価値増大を軸とした生産性改革と「成長と分配の好循環」の創出
~サービス産業・中小企業の生産性向上を~

日本のGDPの7割を占めるサービス産業、そしてGDPの5割・国内雇用の7割を占める中小企業。サービス産業生産性協議会を通じて、高い成長余力を持つサービス産業の生産性向上にむけ、活動します。また、中小企業・サービス産業などの生産性向上にむけた経営コンサルティングと地方創生、地域経営を支える人づくりを実践します。さらに顧客の視点から経営全体を見直す、経営品質活動を推進します。

5. 国際連携体制の構築
~各国・地域の経営リーダーや知識人との討議・交流~

日本のみならず、特に成熟した先進諸国において、生産性の伸び悩みは共通の課題です。日米独のトップ経営者による対話や生産性をめぐるさまざまな課題に関する調査研究などの国際連携活動を推進するため、2018年7月25日、生産性経営者会議(委員長:茂木友三郎 会長/キッコーマン 取締役名誉会長 取締役会議長、副委員長:大八木成男 理事/帝人 相談役)を発足しました。2019年4月には日米の経営者による第1回「生産性ビジネスリーダーズ・フォーラム(BLFP)」を開催、以降、米・独での隔年開催を予定しています。また、2019年12月に日本アカデメイアを舞台に、日米欧の知識人が討議する「東京会議」を立ち上げました。
また、人的・知的交流の推進を通じ、アジア・アフリカ地域の生産性向上を支援します。

 

 

上記活動に加えて、日本生産性本部はシンポジウムの開催など情報発信にも取り組み、次世代が希望を持てる社会の実現をめざして活動しています。

JAPAN PRODUCTIVITY CENTER 65th ANNIVERSARY